元々XPのPCをVistaにアップグレードしているお客様から、そのPCのプレインストールソフトのVista対応状況についての問い合わせがあった。
これまで、自分のPCがVistaにアップグレードできる機種かどうか、という問い合わせは数多く受けた。これに対する答えは簡単で、私が勤めるメーカーの場合、特定の時期以降のモデルであれば原則OK(メモリ増設要求される場合あり)。その際、インストールされているソフトはどうなるのかとの質問もそれなりにあったが、この手の問い合わせが集中したのは昨年末から今年序盤にかけてで、その時点では多くの部分について「未定」としか言いようがなかった。
ご存知のように、PCにプレインストールされているソフトの大部分は他社から提供されている。PCメーカー側から言えば、どのメーカーのどのソフトを採用しているか、という言い方になるのかもしれない。従って、XPモデルに提供されたソフトウェアが将来的にVista対応となるかどうかは、多くの場合、各メーカーの対応次第としか言いようがなかったのである。
そして、最近久し振りにそういう質問があったので、改めて対応状況表を見ることになったのだが…。「対応予定なし」が、当時より増えているように思われた。
何と馬鹿らしい…。Vistaのソフトを買って、場合によってはメモリも増設して。その結果、プレインストールソフトのかなりの部分がVista非対応のため、正常動作が保証されなくなってしまうのである。PCの価格の一定の部分は、色々なソフトがプレインストール状態で提供されていることに対するものだから、わざわざ金払って自分のPCの価値を下げているようなものじゃないか。
こういう状態を「Vista対応モデル」と呼んでいいのかどうか、いちユーザーの視点からすると甚だ疑問なんだが、PCメーカーサイドからすれば「Vista対応モデル」というのは、
「このPCはVistaが正常動作するスペックを備えています。」
ということであって、プレインストールソフトの対応については、
「ウチが製造しているソフトじゃないから、何とも言えない。」
というスタンスにならざるを得ない。
その他にも、今まで使っていた周辺機器がVista対応しているかどうかが問題になったりとか、標準装備されているInternet Explorer 7では正常に表示されないWebサイトがあったりとか、ある意味「踏んだり蹴ったり」みたいな状態になっているのではないかと思うのだ。
私の使用しているPCは「5年モノ」で、とてもじゃないがVista云々するような代物ではなかったけれど、上で述べたようなことは容易に想像できたので、仮にアップグレードできるモデルだったとしても絶対にしなかっただろう。(XPが十分信頼するに足るOSだと思っているから、というのもある。)
アップグレードした人たちには申し訳ないが、どうしてそんなことをするのか、したがるのか、全く理解不能であった。そして今回、「衝撃の事実」を目の当たりにして、あーあーあー、という感じである。
ユーザーの問い合わせとかクレームとかの中には、いちユーザーとして共感できる場合もそれなりにある。
例えば、ほとんど初期不良っぽいような状態。メーカーとしてはハードの問題かソフトの問題かというのは重要な問題なので、リカバリ(初期化)をお願いしなければならないケースもあるのだが、どうして買ったばかりでこんなことしなければならないのかという疑問・不満については同情できるものがある(ユーザー側が誤った操作・設定を行った場合は除く)。
しかし、どうにも理解に苦しむのは、
「…は面倒臭い、時間がかかるからしたくない。」
とか言って、結果的にはその「…」をするよりもはるかに面倒臭いことを、数倍の時間をかけてやって、結果的に解決に至らないケースである。
それでもそれを根気強くやろうってんなら、まだこっちもサポートしがいがあるってもんだが、長時間・長期間かかっていることに文句を言い出す人もいて、
「『自業自得』って言葉、知ってます?」
と聞きたくなる。
具体的に最もありがちなのは、リカバリを拒否して結果的に数日、数週間、数ヶ月問題を引きずるようなケース。リカバリが求められるケースってのは、場合によってはハードウェアの問題も絡んでいるわけで、ハードに問題を抱えていたらOS上であれこれやったところで、まずどうにもならないわけである。
ハードでなくても、電話サポートっていう制約のある環境下では、作業が長時間・長期化する恐れがあるから提案しているのであって、データバックアップが面倒だとか、リカバリ後の各種設定に時間がかかるってのがリカバリを拒絶する理由なんだろうけど、ある程度泥沼化した時点で、本末転倒の状態になっているっていうこと、選択ミスをしたってことに気付いてほしいものである。
それ以外にも、例えばPCを買い換えた時に、旧PCの環境設定(インターネットの設定とか)を新PCに移行させるツールが装備されていることがあるけれど。
これ、独力でサラッと使いこなしてサクッと環境移行ができるんだったらそれはそれでいいんだけど、両方のPCであれこれやることがあるから、同じメーカーのPCならともかく、異なるメーカーのPCの場合だと、
「元のPCのことについては、そちらのメーカーに聞いてください。」
「新しいPCのことについては、あちらのメーカーに聞いてください。」
ってことになりかねない。
おまけに、持ってない道具を買わなきゃならないなんてこともあって、それでも短時間で作業を完了させられるっていうのなら意味があるだろうけど、結局あーでもないこーでもないって展開になって、そんなことなら新しいPCに新たに設定作業を行った方が早かったんじゃないですかってこともしばしば。
多くの場合、インターネットの設定が難しいと思い込んでいるとそういうことになる。確かに最初の設定は、業者が持ってきた機器の設定があるから、業者抜きには作業ができないことが多い。
だが、一旦家庭内のネット環境が調ってしまえば、PC買換えやリカバリなどの場合には、設置済みの機器は基本的にノータッチでいい。なぜなら、それらの設定は何も変わっていないのだから。
LANケーブル接続なら、接続方式によってはケーブル挿すだけで終わりだし、そうでなければプロバイダ問い合わせで一発。設定に必要な情報さえあればPCメーカーでもサポートは十分可能で、トラブルを抱えていない環境ならば5分もあれば足りる。
無線LANの場合、暗号化といった問題が絡んでくるので少々手間はかかるが、それでも必要な情報が揃っていれば、設定案内が5分程度で終わることも珍しくない。
話を戻して。
メールデータをデジタルデータとして保存しなくても、印刷すれば事が足りるってこともあるだろうし。「アドレス帳」にしても、あーだこーだ悩むよりは、新たな環境で改めて入力した方が早いってこともある。IEの「お気に入り」のエクスポートは全然大した手間じゃないけれど、それでもググッて改めてお気に入りに登録した方が話が早いってこともある。
要するに、世間一般で便利だ簡単だと言われている機能であっても、時と場合によっては、それにこだわり過ぎると本末転倒の状態が生じるということ。自分がその機能を十分理解している「便利ツール」なら、上手に使いこなしてほしいと思うけれど、使い方の分からない方法より、自分が知っている「愚直な方法」の方が却って仕事が捗ることだってある。
その時点での目的は一体何なのか、ということ。余裕のある時ならともかく、PCにトラブルがある場合や、早くPCの設定を完了させたいといった局面では、「便利ツール」の使用方法を習得することが目的ではないはず。
その辺の見極めには、PCスキルの高低はあまり関係がないと思う。